「相棒 ━劇場版Ⅱ━ 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」 杉下右京の正義

映画「相棒 ━劇場版Ⅱ━ 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」2010年 配給:東映 監督:和泉聖治 脚本:輿水泰弘、戸田山雅司 出演:水谷豊 及川光博 小西真奈美 小澤征悦 宇津井健 國村準 石倉三郎 葛山信吾 品川徹 江波杏子 川原和久 大谷亮介 山中崇史 山西惇 六角精児 神保悟志 小野了 片桐竜次 原田龍二 益戸育江 岸辺一徳 上映時間119分 
2010年12月23日(木)公開
2010年12月23日(木)13時30分の回鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン6 座席C-14 入場料1300円(前売り券)

午前中に前売り券を当日の入場券に換えるためにシネコンに行ったら、ロビーが物凄い混雑であった。やたらと子どもが目立つし、同時にその親も。何の映画を観に来たのかな、と思って周囲の会話を聞いていると、どうやら「仮面ライダー」や「ウルトラマン」、「イナズマイレブン」が目当てらしい。ロビーに流れるアナウンスでもこの3本の次の回が満席かもしくはそれに近い状態らしいことが告げられている。なにはともあれ映画がまだこれほどの集客能力があるというのは嬉しいことである。このシネコンはこのところ閑散とした印象しかないのでなおさらである。
それにしても今もって「仮面ライダー」や「ウルトラマン」が大人気ということは、いかにこの2大ヒーローを創り出した先人が偉大だったか、それを受け継いだ人々の努力があったか、ということの証明になろう。いずれも誕生から40年前後経っていること自体が驚きである。

で、それには及ばないものの「相棒」も既に10年の時を刻んでいるわけである。これもまた大したものだ。人気も尻上がりだし、作品としても進化もしくは深化し続けているのが大いに頼もしい。僕の入った劇場もほぼ満員の盛況でこれまためでたい。

「警視庁占拠!特命係の一番長い夜」というサブタイトルにあるように今回は、警視庁の会議室で幹部連中が会議中に一人の男に占拠されるという事件から始まる。映画らしいスケール感のある事件ではあるが、これが案外早く表面的には決着する。もちろん杉下右京(水谷豊)が納得するわけもなく、独自の捜査がなされるという展開になる。実を言うと、派手で見栄えのするのはこの冒頭の事件のみであとはいつものドラマの如きスケールの話が続く。
前作の「劇場版」が、マラソンという超派手な舞台設定で現在進行形の犯罪を描いたのに比べて、今回は最初の占拠事件がなぜ起きたのかを探るという過去をあぶり出していく手法をとっている。僕はこちらの方が面白いと思った。取り立てて激しいアクションがあるわけでもなく、複雑な展開があるわけではないが、全編にわたって緊張感が貫かれていてとてもいい。おのれの信じる「正義」のために絶対に志を曲げない杉下右京の姿が感動的である。

ミステリらしい趣向も多少はあるが、根本は「相棒」お馴染みの警察内部の腐敗を描くことにある。またか、という気もするが、國村準や岸部一徳らの曲者役者の好演が光っているので見応えがある。

「中国人マフィアを隠れ蓑にした反米イスラム系テロリスト」という設定や上海マフィアと福建省マフィアの対立の構図というのも面白い。架空の国名を出さず中国としたところがいい。中国人を演じる江波杏子が、さすがの貫禄と凄みを見せる。

及川光博と神保悟志の裸のシャワーシーンは、ファンサービスのつもりか。(だが、誰が喜ぶ?)
杉下右京=水谷豊のジョン・マクレーン=ブルース・ウィリスばりのロープアクションも楽しめる。

ラストに至って、長年このドラマに出続けたレギュラーメンバーを唐突にしかもあっさりと殺してしまうのには驚いた。しかもそれが「泣かせ」でないことがいかにも「相棒」らしい後味の悪さだ。その人の死によって局面ががらりと変わったのを好機ととらえてメインの事件の解決に乗り出す杉下右京の非情さが実に素晴らしい。その人の遺志に反しても正義は貫かねばならないという強固な意志。このラストは長らく忘れられないものになりそうである。日本映画には珍しい極めて毒のあるラストである。

傑作。




相棒 劇場版II オリジナル・サウンドトラック
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池頼広

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