「二度寝で番茶」 夫婦(みょうと)漫才

エッセイ・対談「二度寝で番茶」2010年 日本 木皿泉著 双葉社 2010年10月3日第1刷発行
2010年10月24日(日)購入 ぶっくらんど(北千住) 定価1575円
2010年11月20日(土)読了

現在、日本テレビ系で絶賛放映中のテレビドラマ「Q10(キュート)」の脚本家コンビ・木皿泉の初エッセイ集。木皿泉に非常に興味があったので購入してみた。対談形式の肩の凝らない気軽に読める本であり、楽しくて一気に読んだ。

木皿泉は、夫婦で共同執筆している脚本家。男性は1952年兵庫県生まれで58歳、女性は1957年同じく兵庫県生まれで53歳。神戸市在住。この本においては男性は「大福」、女性は「かっぱ」というニックネームで登場する。
意外に歳がいっているし、関西の人とは思わなかった。そういえばこの本も対談形式ということもあり、まるで関西の夫婦(みょうと)漫才のノリである。おっとりのんびりしている男性「大福」を好き嫌いがはっきりしていて時に毒舌の女性「かっぱ」が突っ込むというパターンという感じ。言っちゃあ悪いが、作品から受ける知的なイメージとはちょっとかけ離れているように思えて、そこが逆に非常に面白かった。
この本は「小説推理」という雑誌に4年にわたって連載したものをまとめたもので割合、その時々に起きた出来事にかけて「大福」と「かっぱ」が感想を述べたり、自分の家族や過去の自分のエピソードを語ったりするのが多く、意外に脚本作りの苦労とかドラマ制作の裏話とかは少ない。それでも「かっぱ」が、映画やドラマの関係者と喧嘩したりする話もあり、興味深い。今のところは抑制して書いている感じがあるので、いつか「かっぱ」が抑制をはずして暴走しっぱなしの本も読んでみたい。

「大福」は、2004年に脳内出血で倒れたそうでこの本にも度々その話が出て来る。重い闘病話にならず、さりとて病気を茶化すこともない絶妙なバランスがいい。僕の父も2007年に脳内出血で倒れ、幸いにも後遺症もなく再発もなく今に至っているので共感を持って読むことができた。

全体的に「趣味のいい」本という感じがする。そこが少し物足りないところでもあるのだが、なんとなくいい気分でよめてしまうのであまり文句をつける気がしない。そのへんは、木皿泉の書くテレビドラマに通じるものがある。今時、珍しい位に爽やかで後味がよく、気持ちいい。ただほんの少し、「悪意」が隠し味で使われている。そこがいい。

かっぱ 「セクシーボイス アンド ロボ」というドラマの最終回で、主人公達が引っ越すわけでも何でもないのに、ある日を境に会わなくなって、結局別れてしまうという結末にしたんですが。
大福  あれは、賛否両論でしたね。
かっぱ そう。若い人は納得しにくかったみたいです。何で別れたかわからないって言うんだけど、三十代以上の人は、リアルな別れ方だったって言うんですよね。(96ページ)

「セクシーボイス アンド ロボ」で僕が一番印象に残っているところを取り上げているのも嬉しい。あのシーンが書けるのが木皿泉のいいところだと思う。ドラマティックじゃないのに心にしみる。

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