「孤独について 生きるのが困難な人々へ」 孤独に死にたい

エッセイ「孤独について 生きるのが困難な人々へ」1998年 中島義道著 文春新書 1998年10月20日第1刷発行 2003年9月25日第11刷発行
2010年10月10日(日)購入 BOOK・OFFパサージオ西新井店 価格350円
2010年10月27日(水)読了

中島義道の本は面白いのもあればつまらないのもあるが、これは幸いにして面白い部類の本である。中島義道の個人史を書いた本だから面白くならないわけはない。この希有の人がどのような環境に生まれ育ち、どのような少年時代・青年時代を送ってきたかが赤裸々に書かれ、実に感動的であり、笑いを誘い、嫌な気分にもさせてくれるというまことに中身の濃い本である。

読んで思うのは、こういう生き方だと本当に大変だな、ということだった。周囲と上手く折り合いが付けられなくて、孤独に生きてきたその姿に幾分かの共感と同情を感じる。
「私の悩みは、矮小で、些細で、暗く、陰気なものである。」(78ページ)
というあたりも僕自身に引き寄せてみると感慨深いものがある。「わかる」という気がする。
ただ中島義道の場合、単純に共感と同情を寄せていると妙な齟齬を感じる。強烈な自己顕示欲を感じるため、どこかに不快感が残るのだ。結局、高学歴で優秀な男の自慢話じゃないか、という印象がぬぐえない。
書いてあることをまるごと鵜呑みにできない胡散臭さが常に付きまとう。
読むほうではまるで検証できないのでその胡散臭さもまた中島義道の魅力と捉えるしかなかろう。

「「ああ、いい人生だった」と満足して死ぬこと、「みんなありがとう、とても楽しい人生だったよ」と感謝して死ぬこと、これは私にとっていちばん恐ろしい死に際である。そのとき、「死」そのものの絶対的不条理が隠れてしまうからであり、それを必死に隠そうとする人々の「手」に乗ってしまうからである。」(194ページ 終章 孤独に死にたい)

こういうくだりなんかは、まさに中島義道の面目躍如という感じ。孤独死、無縁死を恐れたり、社会問題化して論じたりする人も多いなか、「孤独に死にたい」とはなんともいさぎよく安心できる言葉である。ここだけは全面的に賛成したい。

余談。この本は、BOOK・OFFで買ったのだが、本の中に一枚の紙が挟み込まれてあった。読むと、文藝春秋出版局から中島義道宛の業務連絡の文章が書かれてあった。第11刷が出来たので送ります、という内容である。
ということは、この本は一旦、中島義道の手元にあった本ということになる。それがどこをどうめぐって、僕の家の近所のBOOK・OFFにやってきたのか、非常に興味深い。

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