「決定版 完訳グリム童話集5」 気楽にもうけて、気楽に使え

童話「決定版 完訳グリム童話集5」1857年 ドイツ グリム兄弟著 野村ひろし訳 筑摩書房 2000年2月8日初版第1刷発行
2010年10月24日(日)購入 BOOK・OFFパサージオ西新井店 価格1000円
2010年10月30日(土)読了

5巻目、29話収録。
KHM102「みそさざいとく熊」
ひょんなことからみそさざい率いる空を飛ぶもの軍団と熊が率いる四本足の動物軍団が正面対決することになった、その顛末。いかにも童話らしい可愛い話。

KHM104「かしこい人たち」
タイトルは反語で中身はかしこくない間抜けな人たちの話。詐欺に合ってしまった奥さんに呆れた夫が、奥さん以上の間抜けものを探しに出かけ、期待通りの人たちに出会い、見事にだましてひと儲けするというストーリー。
「でも、あなたはきっと、まのぬけた人たちのほうがずっと好きなんじゃありませんか。」(23ページ)というのが締めの文章。

KHM107「ふたりの旅人」
陽気な仕立て屋と陰気な靴屋の二人旅。旅の途中で仕立て屋の食糧が底をつき、靴屋に「パンをくれ」と言うと靴屋は「パンはやる。そのかわりにお前の右の目をえぐりだす。」と宣言する。
まさに残酷童話。それにしても目をえぐりだしても靴屋には何の利益もないし、仕立て屋を激しく憎んでいたわけでもないようだ。ただやりたかっただけなのかな。人間の心って恐ろしい、強い動機がなくても非道な行為ができるのだから。

KHM110「いばらのなかのユダヤ人」
ユダヤ人を悪人にした話。ユダヤ人を「犬野郎」と罵倒する主人公が出て来る。ユダヤ人の過去の罪を暴き処刑する結末なのだが、ひどいユダヤ人はひどい目に合わせても自業自得だ、という考え方が窺える。

KHM115「おてんとうさまが明るみに出す」
ここではユダヤ人が強盗に遭い殺される。強盗はユダヤ人なら金を持っているだろう、と凶行に及んだのだが、意に反してこのユダヤ人は貧乏だった。この話にはユダヤ人はひどいことをして金をため込んでいるはずだ、という思い込みが潜んでいる。人種的偏見というのは怖い。

KHM124「三人兄弟」
グリム童話の三人兄弟ものは、大抵上の二人が賢くて、末の弟を間抜けと蔑んでいるものだが、これは珍しくも三人兄弟が互いを認め合って仲がいい。そこが面白い。


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