「小さな悪の華」 少女たちの汚れなき悪戯

DVD(映画)「小さな悪の華」1970年 フランス 監督・脚本:ジョエル・セリア 出演:ジャンヌ・グービル カトリーヌ・ヴァジュネール 上映時間102分 DVD発売:Happinet  DVD内容:本編+映像特典  言語:フランス語 日本語字幕スーパー版
2010年9月9日(木)鑑賞 

日本公開(1972年)から38年、やっと観ることができた。公開当時、文通していたペンフレンド(女性)から「とても良かった」という感想を手紙で貰っていたので是非観たいと思いつつ観る機会がなかった。

今回、DVD(2008年発売)で観てみてとても面白かった。色々不満なところもあるのだが、それらを考慮に入れてもなお愛すべき佳作であると思う。

寄宿学校に通う二人の少女アンヌ(ジャンヌ・グービル)とロール(カトリーヌ・ヴァジュネール)は大の仲良し。夏休みがやってきて、二人は親の目を盗んで少女らしい背徳的な遊びを楽しむようになる。
悪魔崇拝の儀式をやったり、頭の弱い庭師をからかってもて遊んだり、庭師の大事にしている小鳥を殺したり、牛飼いの男を挑発したり、干し草の山に放火したり、楽しいことがいっぱい!でも自動車が故障して困っているよそ者の中年男を自宅に連れてきて下着姿で挑発していたら、ロールが中年男に犯されそうになったのでアンヌが助けに入って、中年男を撲殺してしまった。さあ、二人はどうなるのだろうか。

アモラルな行動をする子どもたちを描いた小説では、ジョルジュ・バタイユの名作「目玉の話」(「眼球譚」)がまず思い浮かぶ。この映画もおそらく影響を受けていると思うのだが、小説に比べるといささか甘い作りになっている。映画という媒体の限界なのか監督の資質の問題なのか、テーマを突き詰めていないように思えてならない。そこが一番の不満である。少女たちが人を殺すのもいわば成り行きで仕方なくというニュアンスなのが非常に物足りない。僕の好みから言えばもっと極悪非道な確信犯的な殺人少女の話でもよかったように思う。何だか全体的に腰が引けてる感じなのである。
映像に被せるBGMもなんだか甘ったるいし、「ららら~」と言う女性ヴォーカルの声も妙に安っぽい。
そもそも、牛飼いの男を肉体で挑発・誘惑したら相手が発情し犯されそうになるという経験を既にしているのにその後にまたしても中年男を肉体で挑発・誘惑するっていうのは如何なものか。この少女たちには学習能力がないのか。馬鹿なの?悪い少女は大好きだけど、馬鹿な少女は観ていてイライラするだけだ。中年男の性欲と体力を舐めすぎ。この年頃の少女の異性に対する考えなんてこんなものか。「アメリカン・パイ」の童貞少年たちと同じくらい異性の気持ちがわかっていない。
全体的に構成がルーズなのも大いに気になった。監督にはミステリを撮る気がないので事件が起き、警察による捜査が始まっても一向に緊迫感が生まれない。凄く弛緩している感じ。

不満はそれくらいにしておく。以上に述べた不満はありながらもこの映画を愛したくなるのは、ひとえに主演の少女二人の好演によるものである。美人の方の金髪のロール役のカトリーヌ・ヴァジュネールなんかはちゃんとヌードになっての熱演で本当に頭が下がる。陰毛もきちんと見せてくれるのには感激である。男に二度も犯されそうになるのは個人的にはあまり観たくないが、迫真の演技で頑張っている。一方、やや不美人の方の黒髪のアンヌ役のジャンヌ・ビーグルもいい。ヌードはないが腋毛は披露してくれるし、少し透けた下着姿もいい。ストーリー的にも演技的にも引っ張って行く役なので彼女が上手くないと成立しないのだが、非常に見事な演技で実に気持ち悪い文学少女を熱演している。ちなみに映像特典で2006年に撮った彼女のインタビューが入っているが、中年女になってもテンション高く、どこか気持ち悪い姿を観ることができる。彼女は、映画の役を素で演じられたと語っているのが納得であった。

この映画の一番いいのはやはりラストシークエンスの学芸会における詩の朗読の件だろう。そこまで緊張感なくストーリーが進展していたからなおさらここは衝撃的だった。ここで不満も吹き飛び、一気に気分が高揚した。ただ現実的に考えるとちょっとあり得ない気がするのでここはあくまでもファンタジーとして観るに限る。映画史に残る名シーンだと思う。
ボードレールの「悪の華」を読み直したくなった。

(映像特典)
1主演女優ジャンヌ・グービルインタビュー
2監督ジョエル・セリアインタビュー
3犯罪研究家ポール・バック 「小さな悪の華」を語る

1は、ジャンヌ・グービルの強烈さが印象的。2は、ジョエル・セリアの語る「小さな悪の華」の受難史が面白い。フランス本国で上映禁止。海外では当初はドイツ(当時は西ドイツ)とイギリスのみに売れた。反カトリックの内容が教会の逆鱗に触れた。3は、この映画のモデルになったと思しき事件についてなどの考察。

今では反カトリックというよりも児童ポルノの観点から非難されそうな気がする。少女たちのヌードを撮るなんてとんでもない商業主義だとかね。今後、こういう映画は作られないだろう。




小さな悪の華 [DVD]
video maker(VC/DAS)(D)

ユーザレビュー:
音楽がとても良いです ...
う〜ん…確かに衝撃的 ...
貴重な映像作品この映 ...

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 小さな悪の華 [DVD] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

驚いた

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック