「冷たい方程式」 1950年代のSF

小説(アンソロジー)「冷たい方程式 SFマガジン・ベスト①」1980年 トム・ゴドウィン他著 伊藤典夫・浅倉久志編 ハヤカワ文庫SF 1980年2月29日発行 2001年2月15日14刷
2010年9月11日(土)購入 BOOK・OFFパサージオ西新井店 価格105円
2010年9月12日(日)読了

SF短編のアンソロジー。7編収録。

「接触感染」(1950年)キャサリン・マクレイン
傑作。アイデアが素晴らしい。二度と使えないであろう一発もののアイデアである。女性差別的な言い方かもしれないが、女性作家ならではのアイディアだと思う。個性とは何か、私とは何か、という重大問題を扱っていながら面白く読める。このラストの後で男女関係はどうなったかを知りたい気分になった。

「大いなる祖先」(1954年)F・L・ウォーレス
人類の進化の謎に迫る作品。オチはあまり感心しない。エドモンド・ハミルトンの「反対進化」の方がずっと面白かった。

「過去へ来た男」(1956年)ポール・アンダーソン
タイムトラベルもの。20世紀から10世紀にやってきた男の話。その時代に何の影響をおよばさずにただ死んでしまうという展開は捻ったつもりなのだろうが、あまり面白くない。

「祈り」(1952年)アルフレッド・ベスター
ベスターの短編集「願い星、叶い星」ですでに読んでいた。割と好きな作品。超能力少年ものとしてはなかなかよく出来ている。追跡者が辿り着く異世界のイメージが印象的。ユーモラスだが怖い一編。

「操作規則」(1953年)ロバート・シェクリイ
超能力で宇宙船を推進させるというアイデアがユニーク。シェクリイらしい軽妙な作品。

「冷たい方程式」(1954年)トム・ゴドウィン
古典的名作SF短編。SFマガジン1998年1月号の「オールタイム・ベストSF」の海外短編部門で第2位の選出されている。パロディ作品がいくつも書かれ、所謂方程式もののオリジナルとなっている。
僕個人にとっても大変懐かしい作品だ。中学生の時、初めて読んで学校に提出する読書感想文にこの作品を取り上げ、感想を書いた記憶がある。結構、批判的に書いたように思う。
今回、40年ぶりに読んだのだが、批判どころかもはや何も感じなかった。凄く形骸化した作品にしか思えなかった。
アイデアの良さだけは認めるが、ヒロインの設定なんかはあざとさしか感じない。こういう「泣かせ」に感動なり反発なりを抱けなくなったということなのか。そもそも、これはSFなのか。宇宙空間を舞台にしているからSFというんじゃあんまりだ。この作品の感傷性はSF本来の魅力から遠く離れているように思えてならない。
世間的に評価が高い理由もなんとなく分かるが、僕にとってはつまらない作品である。

「信念」(1953年)アイザック・アシモフ
佳作。軽妙に描かれる超能力者もの。自らの超能力に気づいた主人公が、その事実を周囲に認めさせる行動をとる、というストーリーは平凡だが、何となく面白く読まされてしまう。アシモフはこういう力を抜いた作品の方がいいのではないか。「ファウンデーション」シリーズとかになるととにかくかったるくて読むのも辛かった記憶がある。

久々に1950年代のSF短編を読んだわけだが、出来不出来は別にして案外楽しく読むことができた。なんだかどこかおっとりのんびりした雰囲気が全体に漂っていてひと時の娯楽としては最適という感じ。無邪気さがなんとなく憎めない。所詮アイデアストーリーなのだが、アイデアが何もないよりマシなのは確かだ。

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