「乱暴者」 全てはこの道から始まった

映画「乱暴者(あばれもの)」 THE WILD ONE 1953年 アメリカ 配給:コロンビア映画 製作:スタンリー・クレイマー 監督:ラズロ・ベネディック 脚本:ジョン・パクストン 原作:フランク・ルーニー 音楽:リース・スティーヴンス 出演:マーロン・ブランド メリー・マーフィー ロバート・キース リー・マービン ジェイ・C・フリッペン 上映時間79分 モノクロ DVD発売:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
2010年8月15日(日)購入 ヨドバシカメラAKIBA店 価格1000円
2010年8月15日(日)鑑賞 

スタンリー・クレイマー製作の社会派問題作。
「乱暴者」と書いてあばれものと無理やり読ませる邦題が割と好きだ。
オープニング。まず一本の道が映し出される。それにかぶせてやけに仰々しく字幕が出て、「これは衝撃的な物語である」とか「このような悲劇を二度と繰り返してはならない」とかハッタリめいた言葉が並ぶ。続いて主人公ジョニーのナレーションで意味ありげに、「全てはこの道から始まった」と語りかける。ナレーションが終わると、画面奥からカメラに向かって疾走するオートバイの一群が映し出される。この出だしはなかなかカッコいいので大いに期待させられるが、その期待は次第に萎んでいってしまう。

なんでもこの映画は所謂暴走族を扱った世界初の映画だということだが、その点では大いに珍重すべき作品だとしてもいかんせんつまらない。57年前に作られた映画だから止むを得ないのかもしれないが、とにかく全体的に生ぬるくてしょうがない。
元祖暴走族の皮ジャンライダーたちがある町に押しかけてきて迷惑行為を繰り広げるというのがメインのストーリーなのだが、今となってはこの程度の迷惑行為を見せられてもまるでインパクトがない。確かに度を越したバカ騒ぎはするが、刃物や銃を使った暴力沙汰があるわけではないので観ていてまるで盛り上がらない。途中からリー・マービン演じるライバル的存在が登場するので盛りあがるかと期待もしたがさほどではない。
このようなていたらくなので、迷惑行為に怒った町民が立ち上がりリンチに乗り出すという展開にまるで説得力も迫力もない。
さらに一番の問題がある。主人公のジョニーを演じたマーロン・ブランドである。
正直言って、「ゴッドファーザー」以降のブランドしか観たことがなかったのでこの映画でのブランドは結構衝撃的であった。とにかく変なのだ。
ジョニーという人物になりきった名演と呼べるかもしれないが、観ていると喜怒哀楽の表現に乏しく、常に拗ねていじけて仏頂面でぼそぼそセリフを言う人間としか思えない。観ていて凄くイライラさせられる演技である。
そもそも、ジョニーというのがどんな過去を持ったどんな人間なのかが情報として観ているものにまるで伝わってこないので感情移入しようがない。過去もそうだが、今現在のジョニーが何を考えているのかもさっぱり分からない。なぜ町民の迷惑になるようなバカ騒ぎをやるのか、なぜそんな彼が数多くの仲間を束ねるような人望があるのか、さっぱりわからない。

全体のストーリー展開が生ぬるい上にマーロン・ブランドの演技がどうにも鼻につきかったるいのでいい加減飽きてきた。ところが、ラストにとんでもないサプライズがあったのだ。
ヒロインのメリー・マーフィと別れるシーンでブランドが初めて見せる満面の笑み!なんともキュートである。プレゼント(盗品だけど)を渡して去っていくカッコ良さ。今までの仏頂面は、このシーンを際立たせるための御膳立てだったのか。だとすれば、凄いぞ、マーロン・ブランド。
でもやっぱり、そこにいたるまではひどく退屈だったのは確かだ。ラストシーンの良さだけじゃとても挽回できない。全体としては凡作に変わりない。ただ、モノクロ画面の綺麗さは褒めたいし、何よりいいのは79分という短い上映時間だった。

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