「床下の小人たち」 衝撃のラスト!

児童文学「床下の小人たち」THE BORROWERS 1952年 メアリー・ノートン著 林容吉訳 岩波少年文庫 1956年3月20日第1刷発行 2000年9月18日新版第1刷発行 2010年6月15日新版第18刷発行
2010年8月7日(土)購入 くまざわ書店アリオ西新井店3F 定価714円
2010年8月10日(火)読了

アニメ映画「借りぐらしのアリエッティ」の原作。未読だったので読んでアニメと比較して楽しもうと思っていたのだが、衝撃のラストの一行にやられてしまったので、急遽予定を変更してこのラストについて書いておきたい。
と言ってもこのラストの一行について具体的に書くわけにはいかない。でもあまりぼかして書くと何が何だか分からなくなるので難しいところだ。努力して書いてみよう。

ラストで意外な真相が明かされるというのはミステリの定番ではあるが、単に意外な真相にとどまらずにもっと大きな仕掛けのあるものは極めて少ない。今まで読んできたストーリーを根底からひっくり返すようなもの。そのラストがあることにより全く意味が違ってしまうもの。僕の乏しい読書歴からあげると、「殺人交叉点」「心ひき裂かれて」「悪魔のような女」といったところが思いつく。
で、この「床下の小人たち」もそれらに匹敵するサプライズエンディングである。しかもラストの一行のセリフのみで鮮やかに決めているのだ。もちろん、この小説はミステリではない。児童文学である。だからこそ余計にこのラストに驚いたともいえる。こんな手を使うとは夢にも思わない。
作者のメアリー・ノートンは、おそらくミステリを書いたとしても一流であったに違いない。それくらい上手い。

「今までの話は全てウソでした」とか「夢でした」というものならいくらでもあるが、この小説のラストではある証拠が提示されていて虚か実かの答えになっている。その証拠がまたよく考え抜かれてたものなのである。「なるほど」と思わざるを得ない。
だが、そう思った次の瞬間、この小説の語り手に疑問が湧いてくる。この語り手がラストに至っても本当のことを語っているという信憑性は実はないのである。そもそも語り手のおとうとが存在したかどうかだってわからないじゃないか。これほど信頼できない語り手もいないだろう。ラストの証拠も客観性はまるでない。
いや、別に非難しているのではない。逆だ。児童文学によくもまあこんな語り手を持ってきて小説を成立させたものだという驚きと賛辞である。なんという技巧派だ。サキやダールに通じる「奇妙な味」も感じる。

ラストが鮮やかなのは大いに認めるとして問題は何故このラストにしたのかということ。なぜストレートにせず、こんな捻ったラストなのか。どんな効果を狙っているのか。まさか僕のようなひねた読者を喜ばせるためじゃないよね。
ひとつだけ確かなのは、この続編も必ず読まなければならないということである。

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