「特攻大作戦」 汚れた1ダース

DVD(映画)「特攻大作戦」THE DIRTY DOZEN 1967年 アメリカ 監督:ロバート・アルドリッチ 脚本:ナナリー・ジョンソン ルーカス・ヘラー 出演:リー・マーヴィン ジョン・カサヴェテス アーネスト・ボーグナイン ジョージ・ケネディ チャールズ・ブロンソン テリー・サヴァラス ロバート・ライアン ロバート・ウェバー ラルフ・ミーカー クリント・ウォーカー ジム・ブラウン ドナルド・サザーランド リチャード・ジャッケル 上映時間150分 日本語字幕
2010年6月6日(日)鑑賞

先日、ロバート・アルドリッチ監督の「攻撃」という映画をこのブログで取り上げた際に同じアルドリッチ監督の「特攻大作戦」を引き合いに出した。凄く痛快で面白い映画だという記憶があったからだ。だがよくよく考えてみると、もう30年以上観ていないので本当に面白かったのかいささか自信がなくなってきた。そこで数年前に買ってまだ観ていなかったDVDで再見してみることにした。

つまらなかった。愚作とか駄作とまでは言わないけどとても傑作とは言えない出来栄えだった。どうやらまたしても記憶の捏造作業が行われたようだ。最近、とみにこんなことが多すぎる。凡作を何故傑作と思い込んでいたのか、今後の調査が待たれるところだ。(調査のしようもないが・・・)

強盗・強姦・殺人などの罪で軍刑務所に服役している囚人たち。死刑もしくは懲役20年から30年を宣告された彼ら12人で特殊部隊を編成し、ナチスの将校暗殺を目論む、というストーリー設定はまさに血沸き肉躍る展開が予想され、大いに期待値が高まる。だが、この12人の訓練のシークエンスがひたすら長くて最初の期待がどんどん萎んでしまう。困ったものである。
そもそも150分という上映時間はなんぼなんでも長過ぎだろう。とてもじゃないが観てる方の集中力が持続しない。ストーリーも別に複雑なものではなくストレートなんだからそんなに時間をかける必要もないはずなのに何故かじっくり描き過ぎである。150分のうち、100分余を訓練及び演習のシークエンスに割り当てているのは本当にどうかと思う。早く実戦のアクションシークエンスにならないかとイライラしてしまった。
で、この100分余で何を描こうとしているかと言えば、12人のならずもの部隊にチームワークが生まれてくる過程と軍上層部への批判である。といっても「攻撃」のようにシリアスなアプローチではなく、かなり緩いコメディタッチで描かれるのだ。どうにもしまらない軍隊喜劇になってしまい、アルドリッチ監督のお遊び映画と化している。

今、ならずもの部隊と書いたが正確には少し違う印象を受ける。やや線が細いと言ったらいいか。何しろチームのリーダー格がジョン・カサヴェテスなんだから違和感が残るのだ。また不思議なことに前半では目立っていたカサヴェテスが実戦編ではまるで見せ場がない。チャールズ・ブロンソンにすっかり見せ場をとられてしまうのは如何なものか。

さすがに実戦編はそれなりに盛り上がるが、緻密さなんかは求めても無駄である。アルドリッチ監督の荒々しいタッチは大いに結構なのだが、粗々しいでは気合いが入らない。空襲じゃあるまいし、攻撃を受けたドイツ人将校たち(と女たち)が地下壕に避難するというのも御都合主義も極まれりという感じ。タランティーノ監督の「イングロリアバスターズ」は明らかにこの荒くて粗いタッチを踏襲しているけれど、こんなもの真似する必要あるまい。

リー・マーヴィンはまさに嵌り役で観ていて実に気持ちいい。タフガイにして頼れるリーダー像を見事に表現してみせる。もっと映画が面白ければ何も文句はないのだが。
意外に儲け役はドナルド・サザーランド。コミカルなシーンもいいが、クライマックスの壮絶な死にざまもいい。それにしてもサザーランド、カサヴェテスとブロンソンが同じチームというのも今観ると随分奇異に感じる。役者のイメージと言うのも時とともに変わるものだ。
テリー・サヴァラスの役も面白い。強姦魔で狂信者という異常者を好演している。任務など関係ない、と狂いだして味方に射殺されるというこれも儲け役。彼だけが本当の意味でならず者。

自分の記憶のみで映画を語るなかれといういい教訓を得た。その意味では観た甲斐があった。

この映画の名セリフ。
軍上層部に呼び出され、囚人を使った特殊部隊を作る計画を明かされたライズマン少佐(リー・マーヴィン)のセリフ。

ライズマン「いつもの疑惑がわきました」
上官「どんな疑惑だ」
ライズマン「大きな声では言えませんが、上層部に狂人がいるのではという疑惑です」

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