「攻撃」

DVD(映画)「攻撃」ATTACK! 1956年 アメリカ 製作・監督:ロバート・アルドリッチ 脚本:ジェームズ・ポー 原作(戯曲):ノーマン・ブルックス 出演:ジャック・パランス エディ・アルバート リー・マーヴィン ウィリアム・スミザーズ ロバート・ストラウス バディ・エブセン リチャード・ジャッケル ペーター・ヴァン・アイク 上映時間108分 モノクロ 日本語字幕 DVD発売:20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン
2010年4月24日(土)購入 紀伊国屋書店新宿本店 価格1495円
2010年5月22日(土)鑑賞

初めて観た。傑作である。ただ観る前に予想していたのとはかなり違う映画だった。やはり映画は実際に自分で観てみないと分からないものだ。ロバート・アルドリッチ監督の戦争映画だから何となく「特攻大作戦」(1967年)のような痛快至極の娯楽アクションを想像していたのだが、むしろ「何がジェーンに起こったか」(1962年)系列の陰惨な心理劇として極めてインパクトの強い映画だった。
いや、もちろん戦争アクションとしても十分に楽しめる。何しろ何の前置きもなしにいきなりトーチカ襲撃の迫力ある戦闘シーンから始まるのだ。ここからして息詰まるような面白さである。戦争を大局から見るのではなく、最前線の局地的な戦いを執拗に描いていく。それはカタルシスのまるでない悲惨で絶望的な戦いである。
アクション演出に抜群の腕を見せるアルドリッチ監督の本領発揮でとにかく力技で押しまくって行くので観ている側は思わず圧倒される。

さらにその戦いの裏でもう一つの熾烈な戦いが繰り広げられている。それはジャック・パランス演じる中尉とエディ・アルバート演じる大尉による身内の骨肉の争いである。
大尉は臆病で優柔不断で的確な状況判断ができないくせに傲慢で冷酷である。よくもまあここまで、というほどひどい奴をエディ・アルバートが好演している。そして、だんだんこの男が正常な精神状態ではないことが分かってくるし、さらにはどんな人生を歩んできたかも明かされる。父親のDVを受けて育ち、大人になった今も父親の強大な影響力から抜け出られない、そんな人生。この人物像は実に今日的で非常に面白かった。と同時に少し同情したくなった。哀れでかわいそうな男に思える。
一方の中尉もかなり特異な人間である。自分の小隊が見殺しにされたという恨みは分かるが、感情的爆発が尋常ではない。この男もまた正常な精神状態ではない。こちらもジャック・パランスが好演している。
で、精神を病んだ男二人が文字通り命懸けの戦いをするというのだから、もうこれはサイコスリラーの範疇だろう。二人の演技のテンションが異常に高いし、アルドリッチの演出がここでも押しまくるのでまたしても圧倒される。
この辺で「何がジェーンに起こったか」のジョーン・クロフォードとベティ・デイヴィスのどぎついまでの演技合戦を思い出してしまった。(作られたのは「ジェーン」の方が後だが。)

ジャック・パランスとエディ・アルバートの死闘に決着がつき、二人が別々の担架に乗せられて並べて置かれる1シーンが一番印象に残った。二人ともに犠牲者であるというようなニュアンスが感じられた。

映画はそのあとでもう一つの戦いがある。無能であることを承知の上で大尉に現場の指揮を任せた大佐(リー・マーヴィン)とその罪を告発する若い中尉(ウィリアム・スミザース)の戦いである。残念ながらこのシークエンスがどうにも盛り上がらずつまらないのだ。この映画に唯一の欠陥であろう。
原作は舞台劇だということなので、この二人の会話の応酬は舞台では効果的なクライマックスになりえただろうと思う。しかし、映画にしてみるとどうにもパンチに欠ける。映画のクライマックスは支えきれない。
また、役者の問題があろう。とてもじゃないが貫禄たっぷりのリー・マーヴィンにウィリアム・スミザースという若い役者が太刀打ちできない。戦いにならないのだ。そもそも、リー・マーヴィンもミスキャストのように思える。自分の政治的立場のために実力者の息子であるエディ・アルバートを軍の重要なポストに就ける、というような姑息な手段をとるようには見えないのだ。まあこれは「特攻大作戦」のパワフルなリーダー役が忘れ難いゆえの個人的意見だ。





攻撃 [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

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