「人類が消えた世界」 ビャウォヴィエジャ・プーシュチャの過去・現在・未来
ノンフィクション「人類が消えた世界」THE WORLD WITHOUT US 2007年 アメリカ アラン・ワイズマン著 鬼澤忍訳 早川書房 2008年5月15日初版発行 2008年6月11日5版発行
2010年3月4日(木)購入 BOOK・OFF梅島駅前店 価格1050円
2010年5月4日(火)読了
2年前に翻訳出版され話題になった本である。遅まきながら読了。面白かった。ちょっと文章が硬いので一気に読了とはいかなかったが楽しく読んだ。
ただ読む前に想像したのとはだいぶ内容が違う。つくづく本は読んでみないと分からないものだと思う。
例によって書評や紹介などをなるべく読まないようにして白紙の状態で読むことにした。せいぜい帯や表紙カバーに書いてあることを読んだくらい。その時点でなんとなくこれは科学に基づいたSF的な空想を広げた本なのだろうな、と思った。イギリス人SF作家が書きそうな人類滅亡ものSFも思い浮かべた。
でもまるで違った。読み始めてなんだかTVのドキュメンタリー番組みたいだなあ、と感じた。著者のアラン・ワイズマンという人はジャーナリストだそうで僕の感じたのもあながち見当違いではなさそうだ。一人の人間が空想を広げるというのではまるでなくて、全世界に取材チームが散らばって様々な人から色々な証言を得てそれを基にして本を構成した、という趣がある。一人ではとてもこれだけの取材はできないだろう。(これはあくまでも僕の想像で本には一人でかチームでかいずれとも書いていない。)
この本では、ポーランドとベラルーシの国境にまたがるビャウォヴィエジャ・プーシュチャから韓国と北朝鮮の国境の非武装地帯にいたる様々な「現場」について教えてくれる。そして、ある日突然、この世界から人類がすべて消えてしまったらどのような事態が起きるかを様々な「現場」の専門家の証言を基にシミュレーションして見せる。例えば都市の下水道はそれを管理点検する人間がいなくなったらどうなるのか。また石油化学工業地帯はどうなるのか。そんな多岐にわたるシミュレーションが実にスリリングである。いちいち専門家の実名を表記し、その風貌や体形を描写する念の入れ方が妙に面白い。本当に取材してるんだぞ、架空の人間じゃないぞ、と言いたげな姿勢がほほえましい。
さらに過去に遡って人類の歩みと共に絶滅していった様々な動物たちにも言及する。このあたりもいろいろ知らないことを教えてもらった。はるか昔、アメリカにもライオンがいたなんて初耳。リョコウバトの運命については知っていたが、再認識できた。動物に関していえば、人類消滅後も猫は生き延びるという著者の説は興味深い。もしかして著者は猫好きか。犬と随分扱いが違う。
つまりこの本は単なる未来予想にとどまらず、現代社会の諸問題を提示し、過去の検証まで行っているという大変欲張りな本である。科学・動物学・歴史・社会・政治さらには環境問題も視野に入れている。ちょっと盛り込みすぎで
もう少し深く追求してほしい話題もあるのにそれぞれが短すぎる感がある。でも全体的には非常に面白くためになる本であった。
2010年3月4日(木)購入 BOOK・OFF梅島駅前店 価格1050円
2010年5月4日(火)読了
2年前に翻訳出版され話題になった本である。遅まきながら読了。面白かった。ちょっと文章が硬いので一気に読了とはいかなかったが楽しく読んだ。
ただ読む前に想像したのとはだいぶ内容が違う。つくづく本は読んでみないと分からないものだと思う。
例によって書評や紹介などをなるべく読まないようにして白紙の状態で読むことにした。せいぜい帯や表紙カバーに書いてあることを読んだくらい。その時点でなんとなくこれは科学に基づいたSF的な空想を広げた本なのだろうな、と思った。イギリス人SF作家が書きそうな人類滅亡ものSFも思い浮かべた。
でもまるで違った。読み始めてなんだかTVのドキュメンタリー番組みたいだなあ、と感じた。著者のアラン・ワイズマンという人はジャーナリストだそうで僕の感じたのもあながち見当違いではなさそうだ。一人の人間が空想を広げるというのではまるでなくて、全世界に取材チームが散らばって様々な人から色々な証言を得てそれを基にして本を構成した、という趣がある。一人ではとてもこれだけの取材はできないだろう。(これはあくまでも僕の想像で本には一人でかチームでかいずれとも書いていない。)
この本では、ポーランドとベラルーシの国境にまたがるビャウォヴィエジャ・プーシュチャから韓国と北朝鮮の国境の非武装地帯にいたる様々な「現場」について教えてくれる。そして、ある日突然、この世界から人類がすべて消えてしまったらどのような事態が起きるかを様々な「現場」の専門家の証言を基にシミュレーションして見せる。例えば都市の下水道はそれを管理点検する人間がいなくなったらどうなるのか。また石油化学工業地帯はどうなるのか。そんな多岐にわたるシミュレーションが実にスリリングである。いちいち専門家の実名を表記し、その風貌や体形を描写する念の入れ方が妙に面白い。本当に取材してるんだぞ、架空の人間じゃないぞ、と言いたげな姿勢がほほえましい。
さらに過去に遡って人類の歩みと共に絶滅していった様々な動物たちにも言及する。このあたりもいろいろ知らないことを教えてもらった。はるか昔、アメリカにもライオンがいたなんて初耳。リョコウバトの運命については知っていたが、再認識できた。動物に関していえば、人類消滅後も猫は生き延びるという著者の説は興味深い。もしかして著者は猫好きか。犬と随分扱いが違う。
つまりこの本は単なる未来予想にとどまらず、現代社会の諸問題を提示し、過去の検証まで行っているという大変欲張りな本である。科学・動物学・歴史・社会・政治さらには環境問題も視野に入れている。ちょっと盛り込みすぎで
もう少し深く追求してほしい話題もあるのにそれぞれが短すぎる感がある。でも全体的には非常に面白くためになる本であった。
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