「グランド・ブルテーシュ奇譚」

小説(短編集)「グランド・ブルテーシュ奇譚」1830年~1836年 フランス オノレ・ド・バルザック著 光文社古典新訳文庫 2009年9月20日初版第1刷発行
2010年5月9日(日)12時55分購入 明正堂書店NTT上野店NO.1 定価610円
2010年5月22日(土)読了

「善人も、偽善者も、悪人も、
バルザックの描く人間がおもしろい!
幻想的な味わいを持つ珠玉の短編集」(帯より)

バルザックの小説はあまり読んだことがない。なんだかとっつきにくい感じがしてつい読まずにきてしまった。今回、この「グランド・ブルテーシュ奇譚」を買って読んだのは、帯に「幻想的な味わいを持つ」と書いてあったからである。
しかし、読み終わって、「そこそこ面白かったが、一体どこが幻想的なんだ?」というのが正直なところ。

短編小説4編、評論1編収録。
「グランド・ブルテーシュ奇譚」(1832年)
表題作だけあってこれが一番面白かった。ある貴族が、自分の妻が屋敷の小部屋に男を匿っているのに気付き、恐るべき報復を実行する。いかにも古風な小説で貴族の行動が大時代的。そこに引っかからなければ楽しめる。だが読後冷静に作中の状況を想像すると何だか笑いが込み上げてくる。みんなが黙って左官屋の作業を黙って見ているのが何ともおかしい。これってれっきとした犯罪でしょ。殺人だ。でも誰も告発できない(しない)というのがこの時代ならではと思う。ラストの一行が上手い。

「ことづて」(1832年)
乗合馬車というのは映画なんかで見るとのんびりして優雅な乗り物のように思ってしまうのだが、当然のことながら事故も起きる。この小説は乗合馬車の転覆事故により、馬車の下敷きになり命を落とした若者の思いをある女性に届けるという話である。悲惨な事故と悲恋という組み合わせが上手くて小品だが面白く読んだ。

「ファチーノ・カーネ」(1836年)
老いた盲目のクラリネット奏者が語る波乱万丈の人生をわずか30ページでまとめて見せた小品。ヴェネツィア貴族の末裔と称する彼の話が本当か嘘か分からないが人生の哀歓を感じさせるいい話だなあ、と思って読んでいたらラスト二行の冷酷な記述にやられた。辛辣。

「マダム・フィルミアーニ」(1832年)
冒頭、ある女性をさまざまな人々の視点から評価してみせるやりかたが実に皮肉っぽくて面白いのだが、中身の方は割に普通の恋愛ドラマ。いまひとつピンとこなかった。

「書籍業の現状について」
評論。19世紀半ばの出版界の事情について書かれたもの。興味深く読んだ。





グランド・ブルテーシュ奇譚 (光文社古典新訳文庫)
光文社
オノレ・ド バルザック

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