「アルゴ探検隊の大冒険」 古典芸能の世界

DVD(映画)「アルゴ探検隊の大冒険」JASON AND THE ARGONAUTS 1963年 イギリス・アメリカ 配給:コロンビア映画 製作:チャールズ・H・シニア 製作・特撮:レイ・ハリーハウゼン 監督:ドン・チャフィー 音楽:バーナード・ハーマン 出演:トッド・アームストロング ナンシー・コバック ゲイリー・レイモンド オナー・ブラックマン 上映時間104分 DVD発売:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント 2010年2月6日(土)購入 ヨドバシカメラAKIBA店 価格1000円
2010年2月6日(土)鑑賞

ずいぶん昔にテレビの洋画劇場で観て以来、久々に観た。なんだかすごく懐かしい。東京12チャンネル(現テレビ東京)だったと思う。確か野坂昭如が解説で出てきて、「私もギリシア神話は読んだが、こんな面白い話はなかった。」とか喋ったと記憶している。ちなみに今はいなくなってしまったが、昔は映画解説者というのがいてテレビの洋画劇場で放映される映画の初めにひとくさりその映画についてお喋りしたものだ。淀川長治、荻昌弘、水野晴郎といった映画評論家のみならず、俳優や作家なんかも駆り出されて出演していた。今思えばまったく不思議なことをやっていたものだ。まあ、なかには淀川長治のように映画解説を「芸」として極めた希有の存在もいるが。

で、久々の「アルゴ探検隊の大冒険」である。野坂昭如の言うようにギリシア神話の話である。当然ながら人間のみならず神様も登場するが、これがまた俗っぽく人間臭い神様なのである。特に万能の神ゼウスなんか威厳も何もない中年男にしか見えない。おかげて構えて観ずに気楽に観ることができた。重厚さなんかかけらもないのんびりおっとりしたムードはこれはこれで良しとしよう。ただ、神様も人間もまるで知らない役者ばかりが演じていて、どうにも興が乗らない。特にアルゴ号の乗組員たちがみな同じに見えてしまい、ときどき戸惑った。人間ドラマとしてはまことに低調でかなり退屈してしまった。でもそれを我慢しつつ、「早く怪物が出ないかな。楽しみだな。」と小学校低学年レベルの期待をしながら待った。やっと現れた、まずは青銅の巨人テイロス。もう、こうなると特撮のハリーハウゼンの独壇場で、その動きの妙味を楽しむのみ。現代のCGなんかと比べてはいけないし、ましては着ぐるみ特撮を持ち出すことはやめておく。テイロスの動きがあまりにぎくしゃくしているのを不自然と思ってはいけない。何しろ神様が作ったという青銅の巨人なのだから生物のような滑らかな動きをしてはかえって不自然なのだ。
文楽の人形の動きが不自然だという者がいないようにハリーハウゼンの特撮ももはや古典芸能の域に達しているのだからこれでいいのだ。テイロスのあっけない末路も哀愁があっていいではないか。

続いて登場は怪鳥ハービー。これはなかなか奇怪な怖さがあっていい。つるした糸が見えているのも御愛嬌である。次は問題のトリトン。うーん、これは困った。作りものにした方が良かったのではないか。どうみても単なる中年のおっさんなのである。いやいや、これもこの作品ならではの妙味と捉えよう。これから先、こんな映像を作り出す人間はいないだろう。まさに古典芸能である。

クライマックス。黄金の羊の毛皮って映像にするとチャチもいいところ。そのそばに七首竜ハイドラ。これはすぐやっつけられちゃうし、造形もいまいち良くない。その代わりと言っちゃなんだが、ハイドラの歯から再生された七人の骸骨戦士が誠にかっこいい。ゾンビなんぞという汚く醜い連中が闊歩する現代からみれば、この骸骨たちは余分な肉もなくスリムで動きもユニークだ。この戦闘シーンだけでも何度もリピートしたくなる素晴らしさである。

というわけで色々不満もあるが、久々にハリーハウゼンの職人芸を堪能したのでこれでいいのだ。

怪物の表記はDVDパッケージおよび字幕の表記にしたがった。テイロスはタロス、ハイドラはヒュドラでないとなんだか変な感じだし、主人公がジェーソンというのも馴染みにくい。イアソンだよね、やっぱり。

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