「妖婆の家」 ハマー・フィルム版「メリー・ポピンズ」

DVD(映画)「妖婆の家」The Nanny 1965年 イギリス 配給:20世紀フォックス 製作:セヴン・アーツ、ハマー・フィルム 原作:イヴリン・パイパー 監督:セス・ホスト 製作・脚本:ジミー・サングスター 出演:ベティ・デイビス ウィリアム・ディックス ウェンディ・クレイグ ジル・ベネット ジェームズ・ヴィリアーズ パメラ・フランクリン 上映時間94分 モノクロ DVD発売:20世紀フォックス・ホーム・エンターテインメント
2010年1月27日(水)鑑賞

ベティ・デイビスがイギリスのハマー・フィルムに招かれて出演したサスペンス映画。初見。面白かった。

10歳の男の子ジョーイ(ウィリアム・ディックス)が2年ぶりに実家に帰ってきた。2年前、彼の幼い妹が事故死し、その原因と疑われ寄宿舎に入れられていたのだ。家に帰ってもジョーイは反抗的態度を崩さず、問題行動を起こし続ける。そして、家族に向かってこう主張する。「妹を殺したのは乳母(ナニー)だ。次はぼくが殺される。」と。果たして彼の言うことは本当なのか、単なる妄想なのか?

というストーリーで、観る方としては、少年が異常なのかそれともナニーが異常なのかわからぬままで映画を観ることになる。と言いたいところだが、ナニー役にベティ・デイビスをキャスティングしているのを見れば、この役が善良な役で終わらないというのは簡単に予想がつく。で、ただひたすらベティ・デイビスに注目しつつ映画を観るわけだ。
そしてこちらの期待を裏切らずベティ・デイビスは怪演を見せてくれる。
まず何よりもメイクが凄い。眉太く書きすぎでこれじゃあコントだよ、と言いたくなる。それも狙いなのだろうか。演技も鬼気迫るオーバーアクションでこれでもかと誇示している。あんまりにもやりすぎなので逆におかしみが醸し出されていて、観ていてなんだか楽しい。問題児の少年との丁々発止のやり取りも面白い。
アカデミー賞を2度も取った大女優が、怪奇映画とSF映画専門のハマー・フィルムの仕事でも手を抜かずに全力投球しているのが偉い。しかもこの役は当て書きじゃないだろうか。デイビスの代表作の一本「偽りの花園」(1941年)と同じシチュエーションがクライマックスで展開されるのだから。ここでは思わず笑ってしまった。

もう一つ気になったこと。少年の隣家の少女(パメラ・フランクリン)が、ナニーを揶揄したように「メリー・ポピンズ」と言うくだりがある。これってすごい皮肉じゃないだろうか。
「メリー・ポピンズ」は、この映画の前年にアメリカのディズニーがミュージカル映画として公開して大ヒットした。もしかするとこの「妖婆の家」というのはそれに対抗して作られたのかもしれない。問題児のいる家にやってきたナニーは、若くて美しくて明るくてユーモアがあり、歌がうまくてそのうえ魔法が使えるというのが「メリー・ポピンズ」でこちらのナニーはまるっきり正反対、世にも恐ろしいナニーなのである。
意識してこの映画を作ったとしたらかなり底意地が悪い。それがイギリスらしいともいえるが。

映画としてはかなり面白く観たが、精神や肉体を病んだ登場人物ばかりなので暗く陰惨ですっきりはしない。主人公の少年も最後まで好感は持てなかった。
唯一、脇役で出てくるパメラ・フランクリンの可愛らしさが救いだった。たばこを吸ったりする14歳のちょっと不良っぽい女の子でそばかすだらけの顔がとてもいい。もっと出番があればよかったのに。
結局、デイビスの大芝居とパメラのそばかすを観る映画だ。 

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