「黒澤明の作劇術」

映画本(エッセイ)「黒澤明の作劇術」2008年 古山俊幸著 フィルムアート社 2008年5月18日初版第1刷発行
2010年1月29日(土)読了 読書時間120分

尾形敏朗の「巨人と少年 黒澤明の女性たち」と小林信彦の「黒澤明という時代」が面白かったのでもう一冊、黒澤明関連の本を読んでみた。

「本書の目的は、演出家よりも脚本家・黒澤明の比重を置いて、彼とその共作者たちが、どのような発想から構想を膨らませ、どのような技巧を駆使してストーリーを展開させたか、創作の秘密、ストーリー・テラーとしての黒澤を分析することにある。面白い脚本を書くうえで、黒澤映画の脚本は最良の教材であり、娯楽映画のエッセンスが詰まった宝庫なのだから。」(10ページ まえがき)

目の付けどころがいい。文章も分かりやすく軽妙で面白いし、中身も豊富で楽しめる。著者は、1954年生まれであり、1955年生まれの尾形敏朗とは一つ違い。同世代と言っていいのだが、アプローチの仕方が全く違うのでそれぞれ異なった面白さがある。ただ、二人とも「デルス・ウザーラ」(1975年)に思い入れがあるようなのが共通点か。尾形敏朗は「いちばん僕が感動した黒澤映画」と書いている。一方、古山俊幸は「前代未聞の回想形式」と書く。「デルス・ウザーラ」は、「よくよく考えてみれば世界映画史百年にたった一例しかない、実に大胆不敵な構成ではないだろうか。」なのだそうだ。本当かな。そのすぐあとでもう一本の例をあげているのを見るとちょっと眉唾ものなのだが・・・。

こんな感じで勇み足や脱線もありつつも色々面白い新鮮な指摘もあり、かなり楽しく読んだ。

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