「怪奇小説傑作集3 英米編Ⅲ」 人間よりも起源の古い生き物

小説(アンソロジー)「怪奇小説傑作集3 英米編Ⅲ」H・P・ラヴクラフト他著 橋本福夫・大西尹明訳 創元推理文庫 1969年3月17日初版 新版2006年4月28日初版
2009年8月8日読了

3巻目。全10編収録。

「ラパチーニの娘」(1844年)ナサニエル・ホーソーン
古風な話。でも結構ぶっとんだ話。こんなとんでもない実験を自分の娘に行うなんて常軌を逸しすぎ。マッド・サイエンティストものの怪作。それにしても「有毒娘」(51ページ)とはなんたるネーミングだ。

「信号手」(1866年)チャールズ・ディケンズ
これも古風な幽霊譚。これから起こる惨劇を予告する幽霊の話だが、いかんせんひねりがなくあまり面白くない。

「あとになって」(1910年)イーディス・ウォートン
幽霊屋敷もの。ただ一般的に幽霊屋敷というとその屋敷にとりついた呪縛霊が怪奇現象を起こすという展開になるのだが、この作品では外部からやってきた幽霊が恐ろしい事態を引き起こす。どうも屋敷が霊を呼ぶ役割を果たしているようだ。そこがユニークだ。またタイトルにあるようにその幽霊は、ずっとあとにならないと幽霊だとわからないのだ。そこが実にいい。面白い。傑作だと思う。

「あれは何だったか?」(1859年)フィッツ=ジェイムズ・オブライエン
これもタイトル通りの作品。目に見えない何ものかに遭遇する話。別にひねりはないし、その何ものかの正体も皆目分からない。なんかあっけらかんとしたユーモアを感じる。

「イムレイの帰還」(1891年)ラドヤード・キップリング
「しわがれたささやき声程度にしか声がでない」(101ページ)幽霊の話。喉を切り裂かれた男の幽霊だからそんな声しか出ないというのは理屈に合っているような合っていないような変な話。

「アダムとイヴ」(1921年)A・E・コッパード
一読しただけではよくわからなかった。で、二度読んだ。要するに幽体離脱した男が未来に行き、今はまだ生まれていない三人目の子供に出会う話ということでいいのかな。凝った作品である。

「夢のなかの女」(1874年)ウィルキー・コリンズ
これまたタイトル通り。夢のなかでナイフを持った女に殺されそうになった男が七年後に結婚した女は、夢のなかの女にそっくりだったという話。なかなか面白い。女は超自然の存在なのかそれとも現実に存在する異常な人間なのか、よくわからないところがいい。まあ自殺未遂する女に近づくなということか。

「ダンウィッチの怪」(1929年)H・P・ラヴクラフト
スケール壮大な怪作。もうここまで来ると怪談とか怪奇小説と呼ぶのをためらいたくなる。これってSFじゃない?異次元世界から来た透明な巨大モンスターが暴れまわるというストーリーなんだから。ラヴクラフト凄い!
スティーヴン・キングなんかもろ影響受けてるね、「霧」とかね。
楽しく読める傑作だけど、笑っちゃうところもある。3メートルの身長の人間って、いくらなんでもないでしょう。マンガか。
なんか茶化した文章になったが、こういう話を大真面目に書くラヴクラフトは実に偉大だと思う。映画化希望。

「怪物」(1896年)アンブローズ・ビアース
偶然なのか、意図的なのか、この作品も目に見えない怪物の話。「あれは何だったか?」「ダンウィッチの怪」にこれと三つも透明怪物の話が揃ったことになる。猟に出た男が、逆に怪物に襲われるというこの作品を読んで、映画「プレデター」を連想した。あれも透明の怪物(異星人?)の話だった。影響してるかな?
この作品は、「人間の目には見えない色がいくつかあるのだ。」という発想が面白かった。

「シートンのおばさん」(1922年)ウォルター・デ・ラ・メア
わかったようなわからない話。結局、シートンのおばさんって何ものなのか?
変な後味の作品。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック