「「戦争体験」の戦後史」

評論「「戦争体験」の戦後史 世代・教養・イデオロギー」2009年 福間良明著 中公新書 2009年3月25日発行
2009年4月27日読了 読書時間150分

「本書は、学徒兵たちへの評価を中心に、「戦争体験」が、世代・教養・イデオロギーの違いによって、どのように記憶され、語られ、利用されてきたかを辿り、あの戦争に対する日本人の複雑な思いの変遷をみる。」(帯より)

第1章 死者への共感と反感 第2章 政治の喧噪、語りがたい記憶 第3章 断絶と継承 (目次より)

アジア・太平洋戦争の戦没学徒生の遺稿集「きけわだつみのこえ」が1949年(昭和24年)に出版され、いかなる反響があり、共感や反感が語られたのか、また時の流れと共に変わっていったのか。豊富な資料を駆使した実に興味深い本であり、一気に読んだ。
僕は「きけわだつみのこえ」は部分的にしか読んだことがないし、映画化作品は1950年版をテレビ放映で見ただけで、1995年版は未見。だから「きけわだつみのこえ」については格別な思いはなかったが、この本を読んでみて、あらためて関心がわき読んでみたくなった。
この本の著者・福間良明は、1969年(昭和44年)生まれ。戦没学徒生とまるで世代が違うし、「きけわだつみのこえ」出版から20年も時を隔てて生まれたことになる。この本の中で著者は「きけわだつみのこえ」に対する感想を書くわけではない。あくまでも出版時からの様々な外部の反応を拾い集めているだけだ。なんらかのイデオロギーに染まらないその冷静な筆致がまず好ましい。対象をマクロ的に捉えて分析しているのも目を惹くし、戦前戦後の教養主義の変遷というテーマも明快で分かりやすい。「きけわだつみのこえ」がベストセラーになったのは、一般大衆に戦没学徒生の教養への憧憬の念があったからという指摘は鋭い。もちろんその教養に対する批判の声もとりあげていてこれも面白い。
ただ出版を受けて発足した「わだつみ会」という組織の現在へ至る歴史を辿るくだりは退屈した。いろいろと揺れ動いた組織を取り上げることにどれほどの意味があるかは知らない。今となってはこういう組織の話は、遠くてイメージが湧きづらい。ただ「わだつみ会」に関しては、渡辺清という人物に興味を抱いた。この人の本を読んでみたい。もうひとつ「戦没農民兵士の手紙」という本もぜひ読んでみたい。

 




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