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zoom RSS 高橋ヨシキを読む1 『暗黒ディズニー入門』 ダンボはなぜ驚異的に可愛いのか

<<   作成日時 : 2017/11/12 20:16   >>

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映画評論『暗黒ディズニー入門』高橋ヨシキ著 コアマガジン コア新書 2017年3月17日初版第1刷発行
2017年11月11日(土)購入
2017年11月12日(日)読了

(注意!)ネタバレあり

映画ライター・高橋ヨシキの本は、既に数年前に『暗黒映画入門 悪魔が憐れむ歌』(洋泉社)を読んで非常に面白かったという記憶がある。そして、今回の新刊(といっても発行は今年3月だが)『暗黒ディズニー入門』も非常に期待して買い求めた。タイトルから推察するに、ディズニー映画の様々な作品を俎上に上げて、世にいう「健全娯楽」のディズニーの暗黒面を面白おかしく紹介・解説・評論していった本なのだろうな、と思っていた。
が、違った、そんな謂わばありきたりの本ではなかった。その辺がちょっと意外だった。事前に思っていた面白主義の本ではなく、真面目にディズニー映画、ディズニーランド、およびディズニーその人に向き合って書いた本なのである。

この本の構成は、7章に分かれていて、

第一章 ノートルダムの鐘
第二章 白雪姫
第三章 ダンボ
第四章 メリーポピンズ
第五章 トゥモローランド
第六章 ディズニーランド
第七章 ジャングルブック

という章立てになっている。章ごとにそれぞれの作品について長めな評論が載っている。このセレクトがまず面白い。それほど高く評価されていない作品もあれば、古典的名作もある。そしてそれぞれに対する評論の切り口が違う。そこがいい。

第一章 ノートルダムの鐘
ぼくは、未見のアニメ。なので、真っ新のままで読んで非常に面白かった。
 
ディズニーがここまではっきりと「反・キリスト教」の立場を表明した作品は、後にも先にも『ノートルダムの鐘』しか存在しないのです。(57ページより引用)

とまで断言しているのが興味深く、この映画が是非とも見たくなる。

第二章 白雪姫
古典的名作アニメ。ディズニーの長編アニメ第一作。ヒトラーやゲッベルスがこのアニメを高く評価していたことは、以前他の本で読んだことがあるのでさほど驚きはない。ただ、今さらながら、このアニメの持つ歴史的意義を技術面から強調し、

白雪姫は、史上初めて「長編劇映画」の主役を務めた「絵で描かれたキャラクター」です。悪の女王や七人の小人たちは名脇役を演じた性格俳優に例えることができます。
スクリーン上の彼女たちは。全身で喜びを表現しているようにみえます。悪役も含め、白雪姫の登場人物はみな「この世に生を受けた嬉しさ」で躍動しているかのようです。これと同じことが、『白雪姫』が公開される4年前にも起きていました。
それが1933年公開の映画『キング・コング』です。(85ページ)

として、白雪姫とキング・コングが結び付けられる。この辺は、説得力があり、「なるほど」となる。

第三章 ダンボ
高橋ヨシキのダンボ愛は、何年か前に出ていたテレビ番組でも自ら語っていたように筋金入り。ここでも、愛が炸裂している。ダンボはなぜ驚異的に可愛いのか。そもそも、ダンボとは何か。
 
端的に言って『ダンボ』は奇形と差別にまつわる物語です。(93ページ)
フリークで上等、奇形でいいじゃないか、という考えが『ダンボ』には背景としてあります。(101ページ)

ディズニー映画におけるフリーク、奇形については色々考えてみたい、と思っていたので、この『ダンボ』の論考は非常に刺激的だった。

第四章 メリーポピンズ
『ダンボ』については作品のテーマを掘り下げて行ったのに、『メリーポピンズ』に関しては、マット・ペインティングなどの技術についての話だけで、作品の中身についてはあまり触れていない。これはこれで興味深いのだが、『暗黒ディズニー』というタイトルからはずいぶん遠い。だが、その辺はこの本の最後まで読むと納得する。

第五章 トゥモローランド
映画『トゥモローランド』は、公開された時に映画館で観て、それなりに面白かったが、どうもモヤモヤしたものが後々まで残る作品だった。端的に言えば、「よく分からない」ということ。その映画を取り上げているので、大いに期待したが、どうもこれを読んでもピンと来ない。肝心の映画の内容を結構忘れているからだろう。ディズニー映画が自己言及した映画ということもあって、何故か心に引っかかっている。これは、もう一度観てみないといけない。宿題。

第六章 ディズニーランド
これだけ、唯一、アニメでも実写映画でもない遊園地。でも、これも考えてみれば、立派なディズニー作品である。もしかすると、最高傑作かもしれない。
高橋ヨシキは、『ピノキオ』に出て来る「プレジャー・アイランド」を引き合いに出し、それと全く対極の存在するディズニーランドを語る。そして、ディズニーによる「ディズニー化」は、ディズニーランド内だけではなく、その外側の社会でもまた、『ディズニー化』が進んでいると指摘する。

第七章 ジャングルブック
これが最終章。ここでもまた技術論が語られる。ここでもまたマット・ペインティングとつながってくる。

「マット・ペインティング」がもたらしたディズニー実写作品のマジカルな魅力は、CGが劇的に進化した今も輝きを失うどころか、驚異の度合いを増しているのです。(250ページ)

人々に夢を与えるディズニー映画が、如何なるメカニズムで生み出されたものかを追求していくという姿勢がいい。決して作品のメッセージやテーマやストーリーだけが、作品を読み解くわけではない、という点に凄く説得力がある。



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