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zoom RSS 『メアリと魔女の花』 小さな魔法のほうき

<<   作成日時 : 2017/06/24 21:37   >>

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小説(児童文学)『新訳 メアリと魔女の花』1971年 イギリス メアリー・スチュアート著 越前敏弥・中田有紀訳 角川文庫 2017年6月25日(日)初版発行 2017年6月23日(金)購入
2017年6月24日(土)読了

(注意!)ネタバレあり。

7月8日(土)公開の米林宏昌監督のアニメ映画『メアリと魔女の花』の原作小説。映画を観る前に、どんなものかと読んでみた。

メアリ・スミスは、普通の人間の10歳の女の子。夏休みの間、いろんな事情から家族と離れ、一人で田舎にあるシャーロット大おばさまの家で過ごすことになった。その家は大おばさまも使用人もみんな大人ばかりで遊び相手になる同年代の子どもなんかいない。退屈したメアリは、森に入り、そこで一匹の猫と珍しい花を見つける。その花は、「夜間飛行」と呼ばれる魔女の花だった。
メアリが、その花の花粉がついた手でほうきを握ると、そのほうきはメアリを乗せて空に飛び立ち、高く遠くまで飛行していく。そして着いたのは、どうやら今までいた世界とは別の世界のようだ。そこには、魔女が居て、彼女は魔法大学の校長であり、メアリはその大学の入学希望者と間違えられてしまう。

予備知識は乏しいままで読み始めたので、ここでやっと、これが所謂魔法学校ものなんだと気付く。ストーリー的には、そんなに紆余曲折もなく、結構のんびりしたユーモアも感じるし、なかなか面白い。メアリも「何の取り柄もない」と自己評価が低い女の子で、メアリ・スミスという名前自体も「ありふれている」と好きじゃない。ただ、それ以外は特に不幸な生まれだったり、現在の環境が悲惨だったりしない。主人公に心理的・肉体的な足かせを負わせて話を盛り上げることもない。どこにでもいる女の子が、ひょんなことから空飛ぶほうきの魔法が使えるようになったというだけの話。思い切りシンプルである。
で、これから魔法大学で学ぶっていう話になるのかな、と思いきや、ここで意外な話の展開になる。穏やかで人当たりの良い優しく熱心な女性校長マダム・マンブチュークが、実は悪い奴で、メアリの猫ティブをメアリに無断で拝借して魔法の変身用の実験動物にしようと企んでいたのだ。メアリは、ティブを奪還するために実力行使に出る。

それまでののんびりムードは何処へやら、この辺からアクションに次ぐアクションになる。大学の一室に閉じ込められ、魔法で別の動物に変身させられている動物たちを元の姿に戻し、逃亡し、さらには追手を撃破するというのを10歳の女の子がやるのだから面白くないわけがない。善人に見えた校長も途端に悪役になってしまう。
ただ、校長としても言い訳はあろう。魔法の力を試すために動物を実験に使っているのだという大義名分がきっとあるに違いない。その辺には全く触れないで追いつ追われつのアクションが繰り広げられるだけなのが面白い。
今読むと、動物実験に反対している人たちの主張をこの時代(1971年)にもう先取りしていると見ることもできるし、1960年代後半からヨーロッパ各国、アメリカ、日本などで吹き荒れた学園紛争の余波も感じられる。
哀れ校長マダム・マンブチュークは、「スベテノ魔法ヲトク呪文」によって、魔法が解け、空中から落下して死んだようだ。
こういう滅びの呪文みたいなのが出てくるのが面白い。『ラピュタ』にもあったし、『ナルニア』にもあった。最強のアイテム。

その呪文の影響は、メアリにまで及ぶ。魔法でやったことの全てをメアリは忘れ去ってしまう。何一つ覚えていない。この波瀾万丈の体験が、主人公の成長に何のプラスにもなってしないというのも児童文学としては凄いことかもしれない。ま、『時をかける少女』とかもあるが。

ミステリ的趣向もある。実は、メアリの前にも魔法大学に行った人間がいたことが途中で分かるが、それがどうやらメアリの周囲にいる人間らしいという設定。残念ながらこれの種明かしが今一つ上手くない。

実在するイギリスの有名デパート、ハロッズの実名が出てくるのが面白い。
「魔女のみなさまへ あのハロッズから、ヘリぼうき登場!」
というのが、訪問販売のカタログの宣伝文句。こういうギャグはユニーク。作者もお気に入りだと見えて、作者あとがきでもハロッズのヘリぼうきネタを繰り返し、読者層の少年少女たちを煙に巻いていて、大変よろしい。

それにしても、これを長編アニメにするのは難しいだろうな、と思う。文庫本で約190ページしかない。ストーリーはシンプルで登場人物も少ないし、スケール感に乏しい。何よりもメアリが魔法を発動させる動機が、万人を納得させるにはやや弱い感じがする。ただ、ヴィジュアル・イメージは素晴らしいものがあるので、これをアニメで見てみたいとは、熱烈に思う。初めてメアリがほうきで飛ぶときの情景、クライマックスの大アクション、これは是非見てみたい。今から心躍る。アニメが、この話を変えていなければ、ではあるけれど。
米林宏昌監督に期待しよう。
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