完璧な卵

アクセスカウンタ

zoom RSS 『メッセージ』 籠の中のカナリアは歌を忘れない

<<   作成日時 : 2017/05/20 21:35   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

映画『メッセージ』ARRIVAL 2016年 アメリカ 配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント 原作:テッド・チャン 監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ 脚色:エリック・ハイセラー 出演:エイミー・アダムズ ジェレミー・レナー フォレスト・ウィテカー マイケル・スタールバーグ 上映時間116分 日本語字幕スーパー版 字幕翻訳:チオキ真理 
2017年5月19日(金)日本公開
2017年5月20日(土)鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン4 13時50分の回 座席A−2 入場料1800円(当日券) パンフレット720円

(警告!)重大なネタバレをしています。まだこの映画を観ていない方は、以下の文章を絶対に読まないようにお願いします。(追記)また、テッド・チャンの原作『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF)のネタバレもしてします。ご了承を。

原作未読、予告編などの前情報も殆ど入れず、せいぜいファースト・コンタクトテーマのSF映画、というくらいの知識しかなくて、ほぼ白紙の状態で観た。それが功を奏したのか、非常に面白く観た。
また、今日の午後、観終わった後でも、パンフレットは読まず、ネット、映画雑誌の記事にも触れないままにこのブログを書いている。そうやって他人の感想・批評・情報に関わらないでこの映画の感想を記録するのも一興かと思ったので。まあ、以下の文章でとんでもない勘違いをしているかもしれないが、 ぼくがこの映画から受けたメッセージを素直に書いておこう。

冒頭、生まれたばかりであろう赤ん坊を抱きしめる母親らしき女性が映し出される。やがて、赤ん坊は少女になり、若い女性に成長し、そして、死んだ。その一連の流れが、フラッシュバックで描かれていく。
そして、母親の方は、現在は大学で言語学を教えるルイーズ(エイミー・アダムズ)であることが分かる。
ここで違和感を覚える。ルイーズの年齢がよく分からない。娘がかなり成長した(そして死んだ)ことから、ルイーズは中年以上の歳だと思われるのに現在のルイーズは、そんな歳に見えない。何か変な感じ。ルイーズとその娘の回想シーンはこの後でも度々出てくるが、どうも最初に感じた違和感が残る。もしかして、娘って存在しないのでは、と思った。ああ、後で考えれば、いい線までいってたのに。

話の本題は、世界各地にある日突然出現した異星人のものと思われる飛行物体、作中では「殻」と呼ばれているそれの調査チームにルイーズが呼ばれることから始まる。「ある日突然」というのが、如何にもファースト・コンタクトテーマのSFらしくていい。『幼年期の終わり』以来の王道である。変に捻らなくていい。
映画でも、『地球の静止した日』『未知との遭遇』『コンタクト』とこのテーマの名作・傑作が思い浮かぶ。でも、今作が一番本格的なファースト・コンタクトという気がする。何しろ、相手の異星人らしき存在とは全く会話が通じないところから始まっているから。しかもほぼ最初のあたりから、どうやって意思疎するかの試行錯誤が話の中心になっている。その辺は、異星人が姿を現すのがクライマックスの『未知との遭遇』(好きだけど)と違うところ。
描写は非常に緻密に細かく、しかも話のペースはゆったりと進む。「本当に異星人が突然謎の飛行物体で現れたらこんな具合だろうな」と思わせるものがある。その辺、『シン・ゴジラ』に通じるものがある。
民間人の反応は、テレビのニュース映像くらいしか見られず、出てくるのは、科学者・研究者・軍人ばかりというのも『シン・ゴジラ』に似ている。そこが面白い。話を敢えて膨らませないでグッと絞った感じになる。
そして、作中では何の説明もないが、異星人と直接会う時に人間たちが持ってきた籠の中のカナリア(だと思う)があったり、ルイーズが二人(二体?)の異星人に「アボットとコステロ」と名付けるあたり、ニヤッとさせられる。分かる人だか分かればいいという姿勢がいい。

日本の北海道にも異星人の「殻」が飛来したという会話があり、『コンタクト』を思い出す。あの映画では、北海道にとんでもないものがあるという設定だった。『コンタクト』といえば、狂信者による爆弾テロがあり、この映画にも同様の爆弾テロがあるのも偶然ではないだろう。

ルイーズたちの奮闘努力も空しく、中国は、「殻」を軍事力で排除しようとして、そして各国も同調し始める。それまで、異星人とのコミュニケーションをきめ細かく描いてきたところから一転、ポリティカル・フィクションみたいになる。一触即発の危機。ここも結構リアリティーがある。さて、これで異星人と大戦争となるか、いや、ここまでの話の流れからするとドンパチはないでしょうと予想はつく。ヒロインのルイーズの活躍がきっとある、と。
ただ、ここからがリアリティーを吹き飛ばしたSFになってしまうのが面白い。ルイーズは、1年半後の未来で中国の将軍からこの事態を打開する言葉を聞くという超展開になる。タイムスリップしたのでなく、未来が予知できるということらしい。で、実際その言葉というのがよく分からない。中国語で何か言っていたが字幕は出ず。これはフシギな展開。分からなくてもいいということなのか。
さらにラストに驚愕の真実。冒頭から度々登場してきたルイーズと娘の回想シーン、実は過去の回想ではなく。まだ起きていない未来の回想だったのだ。異星人たちが去った後でルイーズは、結婚出産したのだ。
どうも変だと思ってはいたが、未来とは思ってもいなかった。娘はツイーズの想像上の存在とは想像したが。
これは映像における叙述トリックというべきか。綺麗で静謐な映画とずっと思っていたが、ラストでこんなケレン(外連)が待っていたとは、ビックリした、感動した。

結局、異星人は地球人を団結させるために地球にやってきたということでいいのだろうか。3000年後に地球人に助けてもらいたいと言っていた。今回の見返りにということなのか。その辺も何だかスッキリしないが、このスッキリしない感じも割合好き。

エイミー・アダムズ好演。というか、彼女がいなかったら成立しない映画。

(追記)この映画の原作であるテッド・チャン『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫SF)の表題作読んでみた。文庫で100ページくらいの中編小説。驚いたなあ、実に実にシンプルな話。アボット&コステロもカナリアも中国の将軍も出て来ない。「3000年後助けてね」も出て来ないし、異星人たちが地球に来た目的も去った理由も分からない。映画も分からないところが多々あったが、原作からしてこんな感じ。これだけ読むとそんなに傑作とは思えない。それにしてもよくぞこの話を長編映画にしたものだとひたすら感心する。作中に出てくる「表義文字」をこんなに見事に映像化しただけでも素晴らしい。
結局、原作からはこの異星人の体形とこの文字と未来の回想というポイントだけを生かして映画にしたということか。映画では、過去の回想と誤認させるトリックが使えたが、原作では、文章が過去形ではないので勘のいい読者にはすぐわかってしまうだろう。この点でも映画の方が良いように思う。


Arrival [BD/Digital HD Combo ] [Blu-ray]
Paramount

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by Arrival [BD/Digital HD Combo ] [Blu-ray] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
『メッセージ』 籠の中のカナリアは歌を忘れない 完璧な卵/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる