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zoom RSS 『だれがコマドリを殺したのか?』 私、と彼女が言った。

<<   作成日時 : 2017/04/02 20:35   >>

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小説(ミステリ)『だれがコマドリを殺したのか?』WHO KILLED COCK ROBIN?(WHO KILLED DAIANA?) 1924年 イギリス イーデン・フィルポッツ著 武藤崇恵訳 創元推理文庫 2015年3月13日初版 2015年6月5日4版
2017年4月1日(土)読了

(注意!)ネタバレあり

アガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』を久々に読んだので、同じマザーグース殺人ものをということでイーデン・フィルポッツの『だれがコマドリを殺したのか?』を読んでみた。有名な作品だが、読むのは初めて。
で、全部読んでみてこれが別にマザーグース見立ての殺人ものじゃないことを知る。単にヒロインが、コマドリ(COCK ROBIN)というニックネームで呼ばれているだけで、タイトルを有名なマザーグースの一節にしただけ。その辺は当てが外れた。でもこのタイトル(米版のもの)で出版したことが、アガサ・クリスティーにマザーグース見立ての連続殺人もの『そして誰もいなくなった』を書かせる要因の一つになったのではと妄想してみる。
アガサ・クリスティーが作家デビューする前の若い頃に近所に作家イーデン・フィルポッツが住んでいて、作家志望のアガサに色々アドバイスしていたというのは有名な話だから、何らかの影響はあったのではないか。

それはともかくとして、この小説を読み始めると、てっきりミステリだと思っていたのに、一向に殺人はおろか犯罪らしきものも起きない。運命的な出会いをして恋に落ちた若い男女が、情熱の赴くままに結婚するが、永遠の愛などはなくて、次第に夫婦間に亀裂が入っていくという、ごく普通の小説の筋立てなのである。まあ、主人公のカップルおよび周辺の人々が非常に上手く描けていて興味深く、また事件は起きなくとも緊張感が漂っていて面白く読める。もっとも、100年近く前に書かれた小説だから、どこか古風で地味な感じは否めない。

もう殺人は起きないのだろうかと思っていたところ、198ページ目でついにヒロインが死ぬ。コマドリと呼ばれていた妻ダイアナである。彼女は長い間、謎の病気に苦しんでいたのだ。そして、これが単なる病死ではなく殺人の疑いが浮上して容疑者として夫が逮捕されるのが236ページ目。全部で342ページの本なので、2/3が過ぎていることになる。この悠々たるペース配分よ。
この後は、小説の冒頭に出てきただけで、スッカリ存在を忘れていた私立探偵が謎の解明に乗り出すといういかにもミステリらしい展開になる。
ただ登場人物の数も限られているし、そんなに意外な真相とか意外な犯人などというのは望めないなと内心侮っていたのだが、驚いた。意外な真相、意外な犯人であった。おもえば、古風で地味で、しかも話は犯罪臭がまるでなく、夫婦の心理的な縺れをじっくり描いている作品なので、まさかこんな大胆な、というかちょっと突飛な仕掛けがあったとは。それもこれもこの謎解きを際立たせるための作者の深謀遠慮だったのかもしれない。

でもこれはドラマや映画などの映像作品では成立しないトリックだと思う。どんなに上手い俳優でもこれを演じることは無理だろう。まさに小説ならではのトリックであり、これこそが小説としてのミステリの醍醐味だ。
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