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zoom RSS 『解雇手当』 そして、悲鳴をあげた

<<   作成日時 : 2017/02/22 07:10   >>

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ミステリ『解雇手当』SEVERANCE PACKAGE 2008年 アメリカ ドゥエイン・スウィアジンスキー著 公手成幸(くで しげゆき)訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 2009年6月15日発行
2017年2月21日(火)読了

(警告!)ネタバレあり。

冒頭、一人の男が妻の作ったポテトサラダを食べて死んでしまうシーンがある。死にゆく夫の体を見下ろして妻が一言、
「まあ、予定よりはちょっと早かったかしら」
話の「掴み」としてはなかなか上出来。これは面白そうだ、と気合が入る。

土曜日の朝、会議と称して社長にオフィスに呼び出された社員7名は、社長の口から、
「わが社は廃棄されることになった。よって君たち全員を殺す」
と宣言される。実は、この会社は政府の情報機関のフロント企業であり、社員7名の内、5人は工作員、2人は民間人だった。
社員に銃口を向ける社長。だが、社長のすきを突いて、女性社員モリー・ルイスが社長の頭を銃で撃ち抜く。これぞ下剋上。そして、始まる命懸けの「最も危険なゲーム」。

オフィスはビルの36階。社長によって通信回線は不通、携帯電話は使えず、エレベーターも使用不能になり、非常階段のドアには猛毒のサリンを噴出する装置が仕掛けられている。まさに脱出不可能。さらに社長に代わってある目的のために社員皆殺しを図るモリーが迫って来る。

何となく、シドニー・ポラック監督の映画『コンドル』を思い出す。CIAの下部組織であるオフィスが何者かに襲われ、そこにいた職員全員が殺される。生き残ったのは、たまたま、昼飯を買いに行った男一人。彼の必死の逃亡が始まる、という話だった。あれをアレンジしたような気がする。
さらに高層ビルに話を限定し、壮絶な殺し合いが繰り広げられるというと、映画『ダイ・ハード』を当然ながら思い出す。
文庫の裏表紙には、「読者の度肝を抜くハイパー版『そして誰もいなくなった』」との惹句が。
つまり、色々と既視感バリバリなわけで、でも、それが逆に面白く感じる。何でも応用だなあ。
オハナシ自体は、斬新とは言えなくても、バイオレンス連発の過激さとそれに加えてグロ描写もなかなかエグい感じで楽しく読める。
そして何より、ヒロイン(?)モリー・ルイスの強烈な個性に惹きつけられる。昨日読んだ『その女アレックス』のアレックスも凄まじい女性だったが、こっちも負けず劣らずの極悪非道、冷酷非情。冒頭で夫を毒入り手作りポテトサラダで殺すあたりの恐ろしさよ。トンデモナイ身体能力と殺しのテクニックを持ち、躊躇わず、人を殺せるスキルがあるといういわば「理想の女性」である。
そのくせ、男に恋したり、故郷の母を思ったりもする純情なところもあるのが、異常性を感じさせる。さらにラストなんか、もはやホラーである。

サリン、なんてのを名前をだして作中に登場させるのが、ちょっとビックリする。オウム真理教の事件があった日本では、たとえフィクションでもおいそれとサリンを使えないだろう。作者も読者も抵抗があるに違いない。



解雇手当(ハヤカワ・ミステリ文庫)
早川書房
ドゥエイン・スウィアジンスキー

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