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help RSS 「TIME/タイム」 25歳以上お断り

<<   作成日時 : 2012/03/03 07:39   >>

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映画「TIME/タイム」IN TIME 2011年 アメリカ 配給:20世紀フォックス 監督・脚本・製作:アンドリュー・ニコル 出演:ジャスティン・ティンバーレイク アマンダ・セイフライド オリヴィア・ワイルド キリアン・マーフィー ヴィンセント・カーシーザー マット・ボマー アレックス・ぺティファー ジョニー・ガレッキ 上映時間109分 シネマスコープ 日本語字幕版 字幕翻訳:松浦美奈
2012年2月26日(日)鑑賞 TOHOシネマズ西新井スクリーン8 14時の回 座席B−6 入場料1300円(前売り券) パンフレット600円

いわゆるディストピアものSF映画。
遺伝子操作によって全ての人間が25歳で肉体的成長を止めて老いなくなった。ただし、その後の寿命は労働などの対価として「時間」を獲得しなければならない。そう、この世界ではお金というものはなくなり、「時間」がその代わりとなっているのだ。「時間」を得られなくなったら、その人間は即死んでしまう。
なかなか面白い発想である。「時は金なり」という言葉をそのまんま映画にしてしまったという感じ。荒唐無稽だが幾分かのリアリティーがある。
現実の世界では、人は自分の時間を費やして労働し、金銭という対価を得ている。それを至極当然のこととして生きてきているのだが、実は時間に囚われたこの映画の人々と同じなのではないか、と思わせてくれる。時間=金が亡くなったら即死というほど極端ではないが、構造的には同じなのだ。
私も中年になって久しいので自分の持ち時間がどんどん少なくなって行くのを日々痛感しているのでこの映画の発想は、非常にこちらの心の迫って来るものがある。

発想は面白い。ただ、ストーリーのある映画としての面白さはどうだろう。監督・脚本・製作を担当したアンドリュー・ニコルはどうもこのユニークな発想で満足してしまったようで、ストーリー的にはいささか型に嵌ったありきたりのものになった嫌いがある。
スラムに住む貧困層の若者ウィル・サラス(ジャスティン・ティンバーレーク)が、ふとしたことから一世紀分の寿命を得て、富裕層の住む地域に乗りこんでいき、そこで富豪ワイス(ヴィンセント・カーシーザー)の娘シルビア(アマンダ・セイフライド)と知り合い、ふたりで富裕層が時間を独占して永遠の命を持つこの不条理な世界に戦いを挑んでいく、というのはいかにもなディストピアものの定番ストーリーである。
主役カップルが、ボニーとクライドを当然ながら連想させ、さらにパトリシア・ハーストも思い起こさせる。ついでにハーラン・エリスンの「少年と犬」も何故か思い出した。どうもあまり新味がない。
一番問題だと思うのは、このカップルが案外たやすくこの世界の秩序を壊してしまうことである。ディストピアものというのはもっと強固で恐ろしくなければ話が盛り上がらない。あと欲を言えば、後半にもうひとひねりあった方がよかった。驚きが足らない。

基本的にはアクションとサスペンスを盛り込んだストーリーなのではあるが、アンドリュー・ニコルはどうもそういう方面にあまり興味がないのか、それとも独特の感性の持ち主なのか、時折、奇妙な展開になる。
その最たるものは、主人公たちの敵役のひとりである時間監視局員レオン(キリアン・マーフィ)の最期である。これ、ギャグのつもりなのか、と思ってしまった。時間を管理する職にあるものが、職務に熱心なあまりに一番肝心な自分の時間の管理を忘却していたなんて何とも皮肉な話だが、物凄く間抜けでもある。主人公と対峙する緊迫の瞬間にこの展開とは、コメディとしては笑えないし、アクションとしては興がそがれる。でも、印象には残る。
ワイスが金庫に保管していた「時間」というのも何だか笑える。すごーくわかりやすいのだが、すごーくチープのようにも見える。
アンドリュー・ニコルは、風刺劇をやろうとしているのであってハリウッド式のアクションなどはストーリー的に一応必要だからやっているように思える。だからアクションの新手とかサスペンスフルなシーンとか期待しないほうがいい。むしろ「奇妙な味」の方を楽しんだ方がいい。

この映画で一番「奇妙な味」を醸し出しているのは、なんといっても基本の発想である「25歳以降は肉体的には年をとらない」というところにある。
つまり、この映画の中では25歳以上に見える人は出てこない、よって演じる俳優も実年齢が25歳までかあるいは越えてても25歳に見える者でなければならない(見えない人も若干いるが)。中年や年寄りの俳優はお呼びじゃない、ということである。従ってジャスティン・ティンバーレイク(実年齢31歳)の母親役でオリヴィア・ワイルド(実年齢27歳)が登場するという珍妙にして面白おかしいことが起きる。まだ若手と言っていいオリヴィアが母親役というのが何とも良い感じ。
富豪ワイスを演じるヴィンセント・カーシーザー(実年齢32歳)の童顔もじつに「奇妙な味」が出ている。普通だとラスボスの立場なのだが、なんとも若く見えすぎて貫禄と威厳がなさ過ぎて、それが逆に物凄く怖い。いい役、貰ったものだ。

オリヴィア・ワイルドが陥る生命の危機と同じシチュエーションをアマンダ・セイフライド(実年齢26歳)でもう一度繰り返すシーンも割合好き。この辺はアンドリュー・ニコルが楽しみながら作っているのが伝わって来る。
アマンダ・セイフライドという女優は、「マンマ・ミーア」(2008年)以来だが随分感じが違う。ヌードもちらりと披露して見せる。おっぱいが案外大きいようである。個性的な顔立ちも印象に残る。

レオンが主人公サラスの父親の死について何か意味ありげのことを話していたが、あれってあとから関連した話が出てこないのはどういうわけだろう。

人々の間での時間のやり取りが実に簡単に出来てしまうのも何だか笑える。相手の腕を掴んだだけで時間を奪ったり与えたり出来ちゃうのだから。これじゃ、スラムで生きて行くのは大変だ。腕力の強い奴らの天下だもの。

少し不満もあるがなかなか楽しく観た。上映時間109分は無駄に奪われたわけではなかった。それなりの充実感はあった。

(追記)パンフレットを読んだ。面白いところをいくつか。
アンドリュー・ニコルのインタビューでインタビューアーが「2300年未来への旅」(1976年)との類似性を指摘している。
「わたしの記憶では「2300年未来への旅」では人は特定の年齢で死ぬ。この映画では正反対で、人は永遠に生きられるんだ。(中略)だから、あの映画とは大きな違いがあると思う。「2300年未来への旅」が作られた時には、遺伝子工学さえ存在しなかったと思うよ。」(アンドリュー・ニコル談)

そうか、「2300年未来への旅」すっかり忘れていた。高校時代に観た映画で凡作ではあるが、発想はユニークだった。こちらは、マイケル・ヨークとジェニー・アガターのカップルが逃亡者になるのだった。

アマンダ・セイフライドのインタビュー。
「プラダとイヴ・サンローラン、それにルイ・ヴィトンの靴も履いたわ。どれも少なくとも5インチ(約12.5cm)はあったわね。辛かった。(中略)その後はずっと、「スタント・ヒール」といって3インチ(約7.5cm)の靴に履き替えた。ブランドの靴にはどれも、まったく同じ見た目のスタント用の靴があったのよ。」

スタント・ヒールか。初めて知った。映画ってこういう細部まで考えられて作られているのだなあ。普通の演技用とアクション用と二種類の靴が準備されてるとはね。ビックリ。



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映画「TIME タイム」発想は斬新だけどそのテンションが続かない
「TIME タイム」★★★☆ ジャスティン・ティンバーレイク、アマンダ・サイフリッド、 キリアン・マーフィ、オリヴィア・ワイルド、 マット・ボマー、アレックス・ペティファー出演 ...続きを見る
soramove
2012/03/05 07:05

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