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zoom RSS 「大いなる陰謀」 生きて虜囚の辱めを受けず

<<   作成日時 : 2008/04/29 22:59   >>

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映画「大いなる陰謀」2007年アメリカ 製作ユナイテッド・アーティスツ映画 配給20世紀FOX 製作総指揮トム・クルーズ ポーラ・ワグナー 製作・監督ロバート・レッドフォード 脚本マシュー・マイケル・カーナハン 出演トム・クルーズ ロバート・レッドフォード メリル・ストリープ ピーター・バーグ マイケル・ペーニャ アンドリュー・ガーフィールド ケヴィン・ダン デレク・ルーク 上映時間92分 4月18日公開
MOVIX亀有シアター5にて鑑賞 4月20日17時25分の回 座席番号A−9(最前列) 入場料1000円(MOVIXデイのため割引料金)

ロバート・レッドフォード製作・監督・出演の野心作。訴えたいことが何もないのに惰性で映画を作っている輩が多い中、声高に訴えている姿勢は凄い。だが訴えたいことがあまりに多すぎたせいか、なんとも中途半端な不思議な映画が出来てしまった。
この映画はトム・クルーズがMGMと組んで再設立したウナイテッド・アーティスツ映画スタジオの第1号となる作品との事だが、この所トラブル続きのクルーズとしては起死回生の作品にしたかったのではないか。ところが興行的には芳しくない結果になってしまった。まあこの映画を見ればメッセージ性はともかくとして、娯楽性は乏しいのは一目瞭然であるけれど。せっかくクルーズ、レッドフォードに加えてメリル・ストリープまで出演している豪華キャストなのに残念なことだ。

ただ作品的に失敗作かと言うとそうでもない。結構興味深い部分が多々あり退屈はしなかった。予告編を観て想像していた内容とはまるで違っていたけれど。
大体邦題の「大いなる陰謀」からして良くない。このタイトルと予告編からだと、戦争絡みの国際謀略ものを思い浮かべる。フォーサイスやトム・クランシーが書きそうな作品。ところが実際に観てみるとどこに陰謀があるのやらまるで解らん。戦闘シーンもわずかであとはひたすら室内での会話劇のみ。地味すぎるのでハッタリの利いた邦題を付けたくなる気持ちもわかるが、裏切られたと思う観客も多いだろう。

この映画は主に三つのパートで構成されている。まず共和党議員(トム・クルーズ)の部屋で議員と女性ジャーナリスト(メリル・ストリープ)が対話するパート、そして大学教授(ロバート・レッドフォード)の部屋での教授と教え子の学生(ピーター・バーグ)の会話のパート、もう一つはアフガニスタンにおける特殊任務に参加した二人の兵士(デレク・ルーク、マイケル・ペーニャ)の戦地での行動を追ったパート、この三つが交互に描かれていく。その過程で様々な問題を観る者に投げかけていくのだが、問題が多すぎ作り手も受け手も処理しきれない状態になってしまった。
政治とジャーナリズム、政治家と軍隊、教育と戦争、等々どれをとっても重いテーマであり、一本の映画で全てを扱おうとするのがそもそも無理だったのかもしれない。
その中では、クルーズとストリープのパートが一番面白く観られた。大体「共和党」という実在する政党の実名を出して、批判するというのが驚きだった。しかも過去の事件ではなく現在も現実に進行中のアフガニスタン情勢を話の中心に置いているという大胆さ。今までこんな映画があっただろうか。大統領選挙の年に向けて作られた極めて政治的な映画だ。ただ巧妙なのは、ブッシュ、ライス、パウエルなどの固有名詞は一切使っていないこと。これはフィクションですと暗に言っているかのようだ。もっとも議員の部屋には、クルーズがブッシュらと個別に写した写真が飾ってあった。これには 大爆笑してしまった。
クルーズの野心満々な議員役も良いが、キャリア40年のジャーナリスト役のストリープがさすがにうまい。現在のジャーナリストが置かれている立場の脆弱ぶりが窺える。海千山千の政治家に対して何と弱い存在か。そんなことを考えさせる好演だった。従来の映画だったら、彼女がクルーズに対し一矢報いるシーンがあるはずだがそれがないので、映画としてはすっきりしない感じになってしまった。
すっきりしないといえばレッドフォードのパートもすっきりしない、というか何を言わんとしているのか良くわからない。国家の危機に対して無関心な現代の若者に檄を飛ばしたいのか、自分の教え子二人(アフガニスタンパートの二人)が志願して戦地に赴いたのを止められなかった自分の無力を悔いているのか。良くわからない。何かレッドフォードが自己陶酔しているように見える。同時に「老人の繰り言」という言葉も思い出した。
アフガニスタンパートは唯一動きがある映画らしいシークエンスだが、いま一つ迫力に欠ける。これでは戦場の悲惨さは伝わってこない。むしろ二人の兵士を美化しているようにさえ見える。やけに感傷的なのだ。戦争を起こす政治家や軍の上層部は批判しても最前線の兵士は批判しないというスタンスは疑問に思う。クライマックスでの二人の行動を見てレッドフォードの「明日に向かって撃て!」を連想したのは僕だけだろうか。映画的結末としてはああするしかなかったのかもしれないが、「生きて虜囚の辱めを受けず」というのはどうにも頂けない。その底に得体の知れない異教徒に対する恐怖を感じる。

ストリープが自動車の中からアーリントン墓地を見つめて涙するシーンを見ると、つくづくレッドフォードは「情」の人と思う。






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